コントラスト~「て・そ・ら」横内航編~



 すっきりと晴れあがったその秋も真ん中の土曜日、それは、俺達のクラブのメンバーにとっては決戦の土曜日だった。

 ついに来たのだ、年に一度の対校試合が。

 俺はシングルスとダブルスに出る予定で、その滅多にない舞台に朝4時半に起きてからずっと緊張していた。

 まだワクワクする、とは言えない。試合に出るたびに感じるこの緊張は、それでも大切で必要な要素なんだと思っていた。

 小さな練習試合だ。別に公式戦ってわけじゃあない。だけど部員の今日の試合にかけつ情熱は凄くて、それは俺にもしっかりうつっていたのだ。

 集合は6時に学校。

 ガットも張りなおしたばかりの愛用のラケットを背負って、俺はいつもの通りに電車で学校へと向かう。早朝で、山の上へと向かう電車の車内はガラガラだった。

 大きな山すそに広がる街から、はるか山の上の学校へ。

 まだ紅葉には早く、深い緑で覆われた山の向こう側には薄ピンク色の朝焼けが広がっている。千切れるように流されていく雲に、上空は風が強いのだと知る。

 あの風は、試合の時には止まってくれるだろうか。

 俺の打つ球がどうか向こうのラインぎりぎりに落ちるように。硬式でボールは硬くて重くはあるけれど、やっぱり風の威力は凄いものなのだ。

 ぼーっと顔を窓に近づけて、明けてきた世界を見ていた。

 この試合だけは外せない、そう言いながら毎日毎日頑張って練習してきたのだ。ざわざわと体の奥から湧き上がる震えは武者震いだって思いたい。