順番があるだろ、順番が!ほら、まずは手を繋いだりとか・・・。
一人で悶々とそんなことを考えながら部室のドアを開ける。
「おー、航。テストどうだった?」
幸田が数人の後輩と部室を片付けていた。
「まあまあ。ってか何してんの?」
鞄を置いてそう聞くと、幸田がにやりと笑った。
「昼練なくなったぞ。コートの芝生張替えとかで、軟式の方が中庭使うらしい。さっき先生から連絡があったんだ。なあ、飯どこで食う?」
「寒いからここでいいだろ。ストーブあるし、今日は学食開いてないって――――――――」
そう言いながら、ハッとした。
メールの内容にはなかったけど、もしかしたら佐伯は今日も屋上にいくのかも。そう思ったのだった。
付き合うようになってから話した話題の中に、それもあったのだ。
屋上でね、って彼女が下をむきながら言ったあの言葉。実は、横内君がクラブしてるのを見てたんだよ、って。夕焼けも見たかったけど、練習してる姿も見たかったから、って。
今日は屋上に行くとは言ってなかった。だけど、俺の昼練はあると思ってるだろうから行くかもしれない。
綺麗好きな幸田が後輩を使って部室の片付けをしているのを止めて、パッパと鞄から弁当を出しながら俺は言う。
「腹減った、さっさと食べようぜ!」
ああ?幸田が変な顔をしたけど、無視した。
早く早く、弁当なんか瞬殺するんだ。
あの子に会いに、屋上へ行きたい。



