ガヤガヤとにぎやかな音が聞こえる

人の声、舞に合わせて演奏される囃子(はやし)の音色



行きかう人々は思い思いの浴衣に身を包み祭りというその行事を楽しんでいる中で
近くの竹やぶからひょっこりと小さなものがその光景を覗いていた

身に着けているものは白と紅色を重ねた着物だった
裾から覗く手足はか細く白い

頭から腰までを覆い隠す白のベール


小さな少女が蒼の瞳をキラキラと輝かせただただ目の前に広がる光景に見入っている

今日は年に一度行われる千年祭りの日だった


ここは常夜の国と呼ばれる夢現京(ゆうげんきょう)
人間と妖が共に暮らす


この国が常世と呼ばれるその理由は常に夜であるという特殊な環境にあるためだ
この環境があるからこそ妖と呼ばれる存在はこの地に存在しそして静かな時を過ごしていた