学生時代のすべてをバスケに捧げてきた俺も、もう社会人になってから数年がたった。

今は作家として生計をたてているから、バスケにかかわるもなくなってしまっている。

そんな俺が、なぜこんな夜遅くに出歩いているかというと、ちょっとした同窓会があるからだ。

メンバーは俺を含めて5人。みんな高校でのチームメイトだった。

あぁ、"あいつら"に会うの楽しみだな…

なんてことを考えていたら、待ち合わせ場所の居酒屋が見えてきた。

信号の先には懐かしい顔がある。

信号が青になったのを確認し、道路に駆け出した


途端―――――



ドンッという鈍い音と共に、体が宙にういた。

直後、言い表せないような痛みが全身を駆け巡った。

近くにいた人達の悲鳴や、｢轢き逃げ｣という声も、どこか他人事のように感じた。


駆け寄ってきたあいつらは、泣きながら死ぬな、だとか、後少しがんばれ、だとか顔をぐしゃぐしゃにしていた。


泣くなよ、せっかくの顔が台無しだぞ、て軽口をたたいてやりたいのに、上手く声がでない。


そしてそのまま、ゆっくりと意識を手放した。