完璧に迷子になってしまった。
きっとさっきの店には帰りきれない。
どこにあったのかも、わからない。
クラウスみたいに道に詳しかったらなぁ…
しみじみそう思ってると、ふとあることを思い出す。
もしかしたら……だけど、さっきはムカついてクラウスから離れたけど、クラウスにとって私は、逃げた。と捉えられるのだろうか。
……もし、そうだとしたら…私ってヤバくない?
大ピンチ?
決して逃げたわけじゃないのに!
クラウスの家に行ってすぐに謝る?
でもまず、クラウスの家の行き方もわからない!
どうしようかと悩んでいる時に、不意に後ろから声を掛けられた。
「どうしたの?何かお困り?」
「ええ…っと、まぁ…」
後ろに振り向くと、そこには優しい青年が立っていた。
何か見たことある気がする…
でも私、知り合いはいないに等しいし…
「ちょっと道に迷いまして…」
「どこに行きたいの?この辺詳しいから、連れて行ってあげるよ」
「本当ですか!?」
ああ、なんて優しい人なんだろうか。
クラウスとは大違いだ。
それにこんな優しい人を忘れるはずがない。
だから…見たことがあるなんて、きっと気のせいだ。


