「はいーいらっしゃい……あ!」
「え?」
おじさんは私を見て、声をあげる。
え、なに…?
私、何かやらかした?
急に不安になると、おじさんはにこにことして私に近づいてきた。
「あの時の娘さんじゃないか!」
「……え?」
あの時の……娘さん?
え?
私、今日初めてこの店に来たよ…?
誰かと間違えてない?
「あの…人違いじゃないでしょうか…?」
お母様がおじさんにそう言うけど、おじさんは首を横に振る。
「いや…確かにこの娘さんだったよ。店の前でじっとこっちを見ていたからはっきりと覚えている。…で、あまりにも物欲しそうな顔をしていたから、サービスとしてクリームパンをあげたんだ」
「…えっと…」
全く思い当たる節ないんですが…
それに私…今日初めて外に出たのに…
「でも、残念ながら今日はあのクリームパン売り切れちゃったんだよ。何せ一番人気のあるパンだし」
「あの…」
「失礼ですが…この子がこの街に来たのは今日が初めてなんです。本当に人違いだと思いますわ」
お母様の言葉に吃驚するおじさん。
「え?今日が初めて…?じゃあ、双子さんとか…」
「この子に兄妹もいませんわ」
「そうなのか…?」
おかしいな…あの娘さんとそっくりなんだよな…とおじさんは腕を組んで、うーんと唸り始める。
そんなに私にそっくりな人いるんだ。
もし、そのそっくりさんに会ったら…やっぱり吃驚しちゃうのかな。


