「ねぇお母様。お父様は?」
「お父様はまだ仕事で帰ってこられないのよ。だから、先に私だけ帰ってきたのよ」
「そうなんだ」
それでも嬉しい。
だって、お母様もお父様も滅多に屋敷に帰ってこないから。
だから…お母様だけでも帰ってきてくれたのは嬉しい。
……でも、お母様はいつまで屋敷にいてくれるんだろう。
つい暗い表情になると、お母様は心配そうに私の顔を覗き込む。
「どうしたの?具合が悪いのかしら」
「あ、ううん。大丈夫だよ」
今日のメニューはなんだろうね?と誤魔化すかのようにお母様と話す。
それからリビングに着いて、食卓の椅子に座る。
そして、料理人が本日の料理を運んできてくれた。