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sideセーファス
「…さーてと」
クラウスを見送った後、俺は部屋の横にある給湯室へ向かう。
クラウスも中々気配には敏感なのに、今日は気が緩んでいたのかな。
何せ、あの家に帰るのだから。
本当、可愛いところがあるよね。
「…で、君はどうしたいの?」
給湯室の床に体操座りをして、さっきの会話を聞き取っていた人物。
その人物は腰を上げて、俺と顔を合わせる。
「…行かせてください。といえば、行かせてくれるんですか?」
「もちろん。じゃなかったら、わざわざここで待機させないよ。それにクラウスのことだから、このまま駅に向かうのも予想がついていた。だから、君にも荷物は纏めておいてって言ったでしょ」
その人物の足元を見れば、そこには大きい荷物が置いてある。
本当、クラウスは愛されているよね。
「あとは、君の覚悟だけだよ」
「自分の覚悟はとっくに決まっています」
「そう。なら、クラウスによろしくね」
そう言うとその人物は俺に頭を下げて、荷物を持って司令官室を出て行った。