セーファスの腕の中で崩れ行くアメリアを見守っていると、セーファスは俺の方を見る。
「本当にこれでよかったの?」
「ああ…」
そう、これでよかったんだ。
本当はアメリアが俺と一緒にいたいと言ってくれて、かなり嬉しく思った。
まだ自分の中に嬉しいという感情があったのかと、自分でも驚くぐらい…
だけど、アメリアは純血のヴァンパイア。
どのヴァンパイアよりも永い時間を生きる。
もし、俺の寿命がまだ尽きないとしても、近い将来アメリアは一人になる。
俺には何にも残せない。
何にもできない。
だから……突き放すなら早めがいい。
「…それにしても……セーファス、能力を使う時間、いつもより長く感じたんだけど」
いつもならすぐに能力発揮するくせに…今回のはやけに遅く感じた。
セリアさんにアメリアを引き渡すセーファスにそう言うと、彼は戯けたような表情で…
「え、そうだった?いつもと同じだけど」
と言うので、俺は気のせいか…と思いながら意識を失っているアメリアを見つめる。
アメリアの姿を見るのは、きっと今日で最後だ。
もう…俺にはアメリアを見守る資格なんてないけど、俺のいないところでちゃんと幸せになってよ。
心の中でそう強く願い、セリアさんはアメリアを連れて屋敷へと戻り、俺とセーファスはそんな二人を見送って警察本拠地へと向かった。