「なんで泣くの?」



クラウスは私の頬に手を添えて、親指で涙を拭う。



クラウスの優しい行動に更に涙が溢れ出す。




「だって…」



「アメリアはさ、俺のことを忘れてヴァンパイアたちが住む森へ帰って幸せになってよ。俺といたって何一ついいことないから」




どうして…


どうして、クラウスが私の幸せを決めつけるの…?
私の幸せはあの森へ帰ることでも屋敷へ戻ることでもないのに…っ!





「さようならだよ、アメリア」




クラウスの言葉と同時に目の前が暗くなり、そのまま意識を失った。



意識を失う前に、最後に見たクラウスの表情は…



…とても、悲しそうな表情をしていた。