「アメリア。明日の夜、あの人が来るから」
「え?」
ある日の朝。
いつものようにクラウスのコーヒーを淹れていると、隣で朝食を作っているクラウスにそう言われる。
あの人って…
先週、言っていた人……よね?
それしか思いつかないけど…
「……家に?」
「なわけないでしょ。まず招きたくないし。俺が言いたかったのは、明日の夜あの人が王都に来るから。ということ」
だから、明日は出掛けるよ。と言うクラウスの言葉に私は胸を踊らせる。
やった!
明日は外に出れるんだ!
「俺も明日は休みをとったから、たまには街へ買い物に行こっか」
その場合は昼から出ることになるけど、いいよね?と言うクラウスの言葉に私は勢いよく縦に頷く。