「へぇ、本当に逃げなかったんだ。何だかつまらないね」
外が真っ暗になった頃、男は帰宅するなりにそう言う。
何がつまらない、だ。
「街を探索しようとは思いました…」
「でも行かなかったんだ」
「…だって、昨日貴方に服をダメにされたので」
ちょっぴり嫌味ったらしく言うけど、そんなちっぽけな反抗は男には効かなかった。
「ヴァンパイアでも気にするんだ。へー意外ー」
全く心が込もっていない言い草。
吸血鬼だって、心はあるんだから!
なんで、こんな人に捕まったのだろうか私。
捕まるんなら、もっと心が優しい人がよかった。
「失礼しちゃうなー。俺、優しいのに」
「……え?」
「口に出ちゃってるよ、俺の悪口」
うわぁ…
いつも部屋には一人だったから、つい癖で口に出してたんだ…
…気をつけよう。


