「じゃあ、気をつけてね」
「行ってきます」
シンディの見送りに俺とクラウスは挨拶をして、街に出た。
これが……シンディと交わした最後の会話だった。
「…で、クラウスは何を買うの?」
街の中、クラウスと歩き、様々な商品を売っているよろず屋に入る。
「今日は母さんの誕生日でしょ」
「そうだね」
もちろん、知っている。
毎年欠かさずにプレゼント渡しているから。
今日も帰る際に渡すつもりでいる。
「だから…これをあげたくて」
クラウスが手に取ったのは、料理本だった。
「料理本?」
「そう。母さんはいつも‘‘これが一番安くていいの”とか言うけど、実際は簡単のしか作れないから」
これは俺からの細やかな反抗だよ。とクラウスはちょっと悪戯な笑みを浮かべる。


