「ほらよ、苦情は受け付けないから」
「…あ、ありがとう…ございます…」
男は私の目の前に器を置いて、自分の席に戻る。
…本当にこの人は昨日の人…、なんだろうか。
男の行動に戸惑っていると、男は何してんの?と声を掛けられる。
「スープじゃ気に入らない?でも苦情は受け付けないって言ったよね?」
「え、いや…違くて…その…」
この際聞いてみようかな。
本当に昨日の男なのか。
顔は同じだけど…
双子、とか…
「…何だか、今日は優しいです。昨日はあんなに……」
最後の方は言葉を濁しながら男に聞くと、男はああ…と言葉を漏らす。
「言っとくけど、俺は超優しいよ」
「…え?」
「ただ犯罪者やヴァンパイアを始末するのが好きなだけだし、ああ…あとは命乞いするあの必死な表情や苦しむ表情も好きだなー」
「……」
これが、人間の優しさ?
……絶対違う気がする。
優しいっていうのは、昨日のパン屋のおじさんみたいな感じでしょう?


