「最初からヴァンパイアの能力知ってたら、誰だって苦労しないし」
また口に出していたのか、クラウスは呆れ顔でそう言った。
そりゃ…そうだけど…
「自分はこういう能力持ってます。とか言うバカなヴァンパイアがいたら、ぜひ見てみたいね」
しかも意地悪なことを言い出すクラウス。
じ、実際はいるかもしれないでしょ!
かなり素直な吸血鬼!
とりあえず、今この状況を抜け出したい。
血なんて、絶対貰わないんだから!
「ねぇ、アメリア」
抜け出そうとしても、クラウスの腕が私の背中にまわしていて、しかもさっきよりも力が込められている為無理だ。
クラウス相手に力では勝てない。
じゃあ、何で勝てるんだろう。