「血が、欲しい?」
男は警棒を振り回しながら、私を誘惑させてくる。
そう言いながらも、この男は絶対に血なんてあげるわけがない。
「…っ、いらな…い…」
例え、本当にこの男が私に血をあげようとしても、私は受け取らない。
…受け取りたくない。
「へぇ、やっぱり面白い。ヴァンパイアが血を欲さないなんて、初めて聞いたんだけど」
そうね。
多分、私一人しかいないんじゃないの?
…でも、昔は平気だった。
ダメになったのは、そう……
昔、あの男の子が話してくれた“興味津々で森に入った者たちの話”。
それ以来、私は血を飲むのに拒否して、食事に血を混ぜられることになった。
まだ食事に混ぜられるから、我慢して食べれた。
だから、あのおじさんのパンを食べた時は血の味は当然しなくて、またそれ以上に美味しかった。


