「…近くの…宿?」
「緊急事態だからね。すぐそこに宿があるから.……こればかりは効果がないってことか」
「…え?」
「ヴァンパイア特有の紅い瞳のままだ。これ以上ここにいるのはまずい」
いつまで泣いてんだよ。とクラウスは私の涙を拭い、私の腕を掴んで来た道を戻る。
「…まずいって…?」
「アメリアは気づいてないかもしれないけど、発作を起こしたせいで、薬の効果が切れたんだよ」
「え!?」
だって、まだそんなに時間経ってないのに…
発作が起きれば……薬の効果は切れる…
「…じゃあ、私…今は純血としての…」
「ああ、出てる。だからアメリアがどこにいるのかもわかった」
だからクラウスはここに来れたわけだ。
「そして、いずれは危険なヴァンパイアもやって来る。来る前にアメリアの処置をしないと…」
処置。……なんて、簡単に言うけど、クラウスは何をするつもりなの?
私はもう血は受け取らないんだから。
血のことを考えてしまった私は再び渇きが襲ってくる。
クラウスは私の異変に気付き、私の帽子を更に深く被せる。
「もう少しの辛抱だから」
クラウスは私の腕を掴んだまま、足のスピードを上げ、大通りを出てすぐそこにある宿へ向かう。


