「血が欲しくなっちゃった?さすがヴァンパイア」
「…っ、さすが、って…なに、よ…」
ダメだ、喋ると余計に渇き始める。
そう、"渇き”とは吸血鬼が血を欲すること。
一度発動してしまえば、血を飲むまでは治らない。
「ああ…ゴメンね。俺が足を撃ったせいで大事な血が流れていったもんね」
私に謝りながらそう言ってるけど、全然悪気がないようだ。
わかってる。
さっきの戦闘といい、あの昼間の戦闘といい…
本にも書いてあった。
こういう人は性格が歪んでいる。…と。
だから、吸血鬼を殺す時だって、あんな笑顔だったじゃないか。
…でも、目は笑っていなかった。
そう考えると、冷酷な人間…とも考えられる。


