「…なんで、殺さなかった、の?」 「ん?」 男は警棒を肩から離し、私の目の前にしゃがみ込む。 「言ったじゃん。…気に入ったって」 「…でも、貴方は吸血鬼を全滅させるって…」 「それは変えるつもりはない。大丈夫、最後の吸血鬼になった時か、飽きたらすぐに殺してやるからさ」 何が大丈夫、だ。 全然大丈夫じゃない…っ その時、急に“渇き”が私に襲いかかってきた。 「……っ!?」 なんで、こんな時に…っ 男は私の様子を見て、ああ…と納得したようだ。