遡ること、数時間前。
私たち吸血鬼はある森の奥へ隠れ住んでいた。
そしてその森に近づく者はいなかった。
街や村の人にはある言い伝えがあったからだ。
“あの森へ入った者は吸血鬼に噛み殺される”とー…
興味津々な人もいた。
しかし、その人たちは街へ戻ってくることはなかった。
それもあってか、今日まで近づく者はいなくなった。
「アメリア様、またこんなところにいたんですか!?」
「サリー…」
私の名前を呼びながら、こちらへやってくる使用人、サリー。
表情は鬼に近いけど…
「だって…外見たくて…」
「ダメだと何回も言ったはずです!さぁ、部屋へお戻りください」
サリーに怒られ、渋々と自分の部屋へ戻る。