「だから…私はここからは逃げないよ…どんなことがあっても…決して…」
もうあの家には戻りたくない。
ただ時間だけが過ぎていく人生なんて…もう嫌。
「たとえ…クラウスが吸血鬼(私)を大嫌いでも、私はここにいたい。私に飽きたら殺しても構わない」
クラウスは吸血鬼全滅を目指しているから、私はいつかクラウスに殺されるに違いない。
それでも私はここにいたい。
今の時間を大切にしたい。
暫く私の話を聞いていたクラウスは体を横に向け、自分の手を私の頬に当てる。
「本っ当にバカだね。俺に飼い慣らされて、殺されてもいいなんて、どれだけマゾなわけ?」
「ま….ぞ…?」
「はーい、気にしなくていいよ。アメリアにはわからないことだから」
クラウスは私の涙を拭ったあと、取り上げた布団を私にかける。


