「恋って、認めて。先生」


「申し訳ありません、お待たせしました〜!」

 話していると、タクシーが来た。あっという間の10分だったな。

 私を先に乗せると、続いて永田先生もタクシーに乗った。

 告白されたばかりの頃はどうなるかと思ったし、永田先生のことを悪く思ってしまうこともあったけど、そういうのがどうでもよくなった。今はまた、親しみを感じる。親身になって話を聞いてくれたこともそうだし、職場の先輩としても……。

 結婚話が決まって以来、比奈守君と直接会うことを避けてきたけど、今夜彼が電話をくれたら、じっくり話をしよう。私の考えを知ったら最初は驚くかもしれないけど、話せば分かってくれるはずだ。

 アパートに向かって走るタクシーの中、無言で窓の外を眺めていた私に気付き、永田先生は言った。

「リラックスしないと、伝わるものも伝わらないよ」
「は、はい!そうですね、リラックスします!」
「うーん。まだ固いなぁ」

 比奈守君との話し合いを想像している間、私の表情は無意識のうちにこわばっていたらしい。わざと明るい口調で和ませてくれる永田先生の気遣いがありがたかった。


「二千五百円になります」
「これでお願いします」
「ありがとうございました〜。またよろしくお願いします」

 タクシーがアパート前に着くと、永田先生はスマートな流れでサッと会計を済ませてくれた。

「あの、これ!ありがとうございました」

 私は永田先生にタクシー代を渡そうとしたけど、それは押し返されてしまう。

「いいよ、このくらい」
「二千五百円ですよ!?お昼ご飯外で三回くらい食べれますよ!」
「じゃあ、大城先生が持っときなよ。一人暮らしって何かとお金かかるでしょ?僕は実家暮らしだし、送りたくて送ったんだから、ホント気にしないで」

 そこまで言われたら、お金を返すのは失礼かもしれない。相変わらず男の人といる時のお金の使い方には戸惑うものがある。

「じゃあ、お言葉に甘えて……。って、永田先生、なんで一緒にタクシー降りてるんですか!?」
「あ……」

 引き止めようとしたものの、タクシーはすでに走り去った後。永田先生はしまったと言い、ため息をついた。

「うっかりしてた。大城先生降ろしたらそのままアミ達のとこに戻るつもりだったんだけど」
「そうですよね、またタクシー呼びましょうか?」