「恋って、認めて。先生」


 片想いに悩んだり、彼氏が浮気をしたり、恋愛における女性の悩み事は世の中にたくさんある。そんな中で、私は恵まれた位置にいるはずだ。

 好きな人と両想いで、その彼は一途。お互いの両親にも気に入られ、結婚も間近。あれこれ考えず流されるままに比奈守君と結婚し、二人であたたかい家庭を築いていく、そういう幸せもあるのかもしれない。

 だけど、どう考えても、私は今、比奈守君との未来のヴィジョンを思い描けなかった。想像しようとしても、砂煙に巻かれたように想像世界の視界は悪くなる。

 先日、純菜とエモと三人で顔合わせを兼ねた食事をした時、エモは、いずれ今の彼氏と結婚したいと言っていた。アミさんも、永田先生に告白した後のことを明確に想像している。どちらの恋愛にも前向きな光が見える。それに比べて私は……?


 それからもしばらくアミさんと話をし、永田先生の話や学校での仕事について訊かれるままに答えたけど、そうしている間も私の意識は別の方を向いていて、アミさんとの会話の内容はあまり記憶に残らなかった。


 アミさんと共にトイレを出て元の客席に戻ると、純菜の姿がなかった。

「純菜は?トイレには来なかったけど……」

 心配になり尋ねると、エモが意味ありげにニヤニヤしながら言った。

「純菜ちゃん、遠藤さんと帰っていったよ〜!」
「それって……!」
「あの二人、最初は離れて座ってたのにね!もしかしたら付き合うかも!」
「大丈夫かな?」
「大丈夫!純菜ちゃんはしっかりしてたから」

 純菜のことが気になったものの、体調不良になったとかじゃなくて本当によかったと、ひとまず安心した。

 スマホを見ると、悪いけど先に帰る。純菜からそんなラインが来ていた。

「私もそろそろ帰ろっかな」
「えー!もうちょっと飲もうよ〜!!飛星がいないとつまんない〜。まだまだ時間あるしさぁ!ね?」
「分かったよ、分かった!」

 酔っ払って抱きついてくるエモの背中をなで、私は彼女の隣に座った。

 それからちょっと経つと、新しくアミさんの女友達が三人来て、男性陣はわぁっと盛り上がった。元々男性の数が多く女性が少なかったのでなおさらだろう。男性陣は皆、出会いが欲しいみたいだった。

 周りが合コン独特の雰囲気で盛り上がる中、彼氏持ちのエモと私は連帯感を覚え、二人で色々語り合っていた。

「アミ先輩が永田さんの写真見せてくれなかった理由が分かったよ。あんなにかっこいいんじゃ、同性には気楽に教えられないよね」

 エモはアミさんをいちべつした。アミさんと永田先生は、私達から離れた席で、二人仲良さそうに話している。

「私、彼氏以外興味ない自信あったけど、永田さん見たらその自信もなくなった。永田さん、色気ありすぎだもん」
「そ、そうかな?」

 お酒の力もあるのか、トロンとした目で、エモは永田先生を見つめている。