「恋って、認めて。先生」


「清川、近過ぎ。この子彼氏いるんだから離れて離れて」

 永田先生は言い、私と話していた男性…清川さんの腕を引きこの場から引き離した。この人の名前、清川さんっていうんだ。最初に自己紹介された気もするけど、全く記憶に残っていなかった。

 清川さんと永田先生は友達らしい。

「ごめんね、こいつウザかったでしょ?好みの子見つけると手当たり次第に口説くから」
「いえ、大丈夫です。でも、ビックリしました。永田先生がいらっしゃるなんて思わなかったから」
「そのセリフ、そっくりそのまま大城先生に返すよ。こんなとこで何してんの?」

 永田先生と話していると、アミさんとエモがやってきた。

「永斗!遅い!連絡もくれないし!」

 アミさんは怒った顔で永田先生に近づいたけど、本気で怒っているのではなく、どこか喜んでいるのが分かる。今日ここへ来てからずっと、永田先生が来るのを楽しみにしていたんだろうな。

「ごめん、仕事がなかなか片付かなくてさ。これでも急いで来たんだ」

 永田先生は苦笑し、エモを見た。

「アミの後輩ってこの子?」
「はい!初めまして!江森依夏(えもり・えな)です。飛星を連れてきたのは私なんです」
「そうだったの。アミから聞いて知ってると思うけど、僕は永田永斗。よろしく。アミがいつも世話になってるってね?」

「いえ、とんでもないです!アミ先輩には良くしていただいてますー!」

 答えるエモの声音が、どこかぎこちない。それに、頬も上気して目も潤んでいる。もしかして、エモ……。

「アミ先輩に聞いてて知ってましたけど、永田さんが想像以上にかっこいい人でビックリしてます…!」
「はは、ありがとう」

 永田先生は困ったように笑うと、アミさんの隣に座った。すごいな、永田先生。学校内だけでなくプライベートでも安定のモテ具合だ。

 永田先生と隣合って座るなり、アミさんが言った。

「永斗と飛星ちゃんって同じ学校勤務だったんだね。さっき飛星ちゃんの仕事聞いた時も驚いたけど、まさか同じ職場とはね〜」
「そう珍しい話でもないでしょ。この辺高校少ないし」
「そう!?すごい偶然だよ〜。飛星ちゃんもビックリしてたしね?」

 アミさんに話を振られ、

「はい、ビックリしました。こんな偶然あるんですね」

 私はぎこちない動きでうなずき返した。今、純菜やエモを含んで永田先生と同じ空間にいることが不思議だった。

 アミさんは永田先生を好きで、今日こういう場を設けたのも彼と近付くため。邪魔したらいけない。

 さりげなく清川さんの方に行こうかと思ったけど、私から離れた清川さんは次に純菜と話していて、とても話しかけられる空気じゃなかった。純菜も楽しそうにしている。