片耳の聞こえない少女と新撰組



 

「ぶはっ…!!そ、それで、ふはっ…土方さんに殴られたんだ…?あははっ!!」



むすぅ…。



「……わざと、左耳で大声で叫んで大人げないです。しかも、乙女の頭をグーで殴って…たんこぶできましたよ…」


あれはほんとに痛かった…





あれから、門の前で正座させられたまま泣いているわたしと怒鳴る土方さん。

それを見て見ぬふりし門の警備をしている隊士たちの姿を巡察から帰ってきた沖田さんたちによって終わりを告げた。







「いやぁ、あのときびっくりしたよ」

「モグモグ…土方さんのせい…モグモグ…です…モグモグ…」


「高橋、食べるか喋るかどちらかにしろ」
「……モグモグ…」

「食べるのか…」



それから近藤さんによって話は丸く?おさまり、昼御飯を食べていた。




「ゴクッ…。
そういえば、芹沢さんたちは一緒には食べないんですね?」



素朴な疑問を聞いた。

「食べるわけねぇだろ」
「ふーん…モグモグ…」



んー…芹沢さんたちが殺されるのは…なんか悪いことばかりしてたから上の人が近藤さんたちに命令したんだっけ…?
なら、えーと…それを止めたらいいのかな…?




「むむむっ…?モグモグ…モグモグ…」

「高橋箸をくわえて悩みながら食べるな、行儀が悪い」
「ふぁーい」



「あとつばさ、何気に僕の方に人参持ってこないでくれる?」

「……モグモグ…モグモグ…」


よしっ!
とりあえず、芹沢さんたちに接触して様子見でいっか!




「沖田さん、
人参あげるんでおひたし下さいね」


「……許可する前にもうとってるってどうなのかな…」






今日も穏やかな空気が流れていたのだった。