片耳の聞こえない少女と新撰組




「いってきます、いってらっしゃい…
それは出ていく言葉…
おかえり、ただいま…
それは帰ってくる言葉…」


隊士は聞いたことをそのまま話すようにゆっくり話す。



「死なずにちゃんと帰ってきてください、待ってるから…っていう言葉。
死なずに帰ってきてくれてありがとうの言葉、だそうです」







「それがなんで約束なの?」


「いってきます、っていえば必ずただいま、って言葉を相手に言わなければいけないそうです、だから……」




“だから私は皆さんにいつもこの言葉で帰ってくると約束してもらってるんです”

そういう隊士の言葉に聞いていた僕と一君、それに知らなかった隊士たちは驚き言葉をなくした。





あの子は当たり前を当たり前に思わないんだ…

…なんて、強い子なんだろ…





「そのあと、いってきますってなんか夫婦みたいなやりとりで萌えですよね!とかいってましたけど」



「「「ぶはっ…!!」」」

巡察しているとは思えないほど穏やかな空気が流れていた。






「ならば、今日も一人誰も死なずに帰らなければ、な…」
「そうだね」


組長二人の言葉を合図に
隊士たちは刀を抜いた。







「壬生浪ごときがぁぁあ!!!!」