「ねぇ、私、後ろ向いてるからさ、着替えれる? 濡れちゃままだと風邪悪化しちゃうし。」 「……」 わずかにスースーと息の音が聞こえるだけで返事はない。 こいつ…生きてるのか? や、死んでたら、息してないか。 そっと藤堂の肩に手を置き 「ねぇ、着替えれる?」 と、尋ねると 「ん……んん。」 今度は首を横に振る。 熱くほてった藤堂の体温が 肩に置いた私の冷たい手に伝わる。 その伝導した熱で私の冷たい手もわずかにぬくもる。