ドアを開けて入ってきたのは、車いすの男だった。

さっき、食堂で見かけた来客の男だ。

「初めまして。大司さん。僕は、東雲叶亜といいます。」

叶亜は丁寧に頭を下げた。

なかなかの紳士だ。

「詩音の恋人か?」

「違いますよ。僕は、詩音さん……いえ、奥様に依頼された探偵です」