あのとき。お父さんは私を守るために、おにぎりを捨てた。

もしかしたら、お父さんが来なかったら私は死んでたのかもしれない。


「ごめんね。詩音。あなたのこと、一回でも殺そうなんて思ったなんて……私。母親失格ね……」

友美が「ごめんなさい」と頭を下げた。

「お母さん……頭を上げてよ。お母さんは母親失格なんかじゃない。私のことを一番に考えてくれた。大好きなお母さんよ」

微笑むと、友美が泣きながら詩音を抱きしめた。