いつの間にか雲隠れしていた蒼い月が私を照らすと同時にぐらりと大きな目眩が私を襲う。 ぐらり、ぐらり。 揺れる視界、遠くなる鈴の音。 揺れているのが私なのか、地面なのか、よく分からない。 酷い頭痛の中、頭の中に響いたのは誰かの優しい声。 "いってらっしゃい、蒼さん" ちょっと待って、あなたは誰なの。 そんな問いかけは白い吐息の中溶けるように消えていき、意識が途切れると同時に蒼はその場から跡形もなく姿を消していた。