「私、女ですよ?」



そう言うと土方さんは鬱陶しそうに

"そんなの分かってる"と

眉をひそめた

そんな怖い顔しないでくださいよ…



知らない間に肩が狭くなっていたのか

後から平助くんの声がした



「土方さぁん、もうちょっと優しくしてやれねぇの?怖がって…」


「あ"ぁ?うっせえ、お前は黙ってろ」



優しい平助くんの言葉を遮って

土方さんは再び不機嫌そうな顔つきになった


顔綺麗なんだから

もう少し穏やかにすればいいのに…



あと平助くん、ありがとう




「お前、調理は得意か」



そう問われた

調理って料理のことだよね?


実は私の家は父子家庭

そのせいもあって小さい頃から

父の代わりよく夕飯を作ったりしてきた


学校のお弁当も全部自分で作っている

だから得意かと聞かれたら

人よりは得意かもしれない



「人並みくらいはできます」


得意と言うと

その後の期待なんかもありそうだから


少し言葉を濁らせた

でもそれで良かったのかもしれない



「じゃあ新選組の料理長として働け」


そう言われて驚いたのは私だけじゃない

確か新選組の調理担当は

隊士たちが自分たちでやっていた気がする


だとすれば料理長として

私は存在しなくてもいい



でもそうでも言わないと

ここに置く理由がないんだろう