月明かりと薄桜 -誠の絆-




「もしかしてそれって君の?それ誰かの忘れ物でさ、ずっと持ち主探してたんだよね」


声をかけてきたのは

図書委員の男の子だった

黒縁メガネをかけていて

ちょっと気だるそうな感じ



いやいや、

これ私のじゃないんですけど…?



けどなんでだろう

私のものじゃないはずなのに

なぜか私が持っておかないといけない気がする


読まなきゃいけない気がする



「それと…っ、もうここ閉めるから」

「あ…すみません」



壁にかかってる時計を見ると

知らない間に針は六時を指していた

外はまだ明るいけれどもう下校の時間だ


私はとっさに

手に持っていたその本をかばんの中に閉まった



私のじゃないけど

まあいっか…

家で読んでそれからまた返しに来よう



そうして私は

スクールバッグを肩にかけて

図書室をあとにした