月明かりと薄桜 -誠の絆-


そのせいか

この屯所に来てから

毎日の賑やかさに最初はとまどった


自分の帰る場所に誰かがいるっていいなって




"いってきます"

って言ったら

"いってらっしゃい"

って誰かが見送ってくれて



"ただいま"

って言ったら

"おかえりさない"

って誰かが迎えてくれて


重なりあうみんなの

"いただきます"も"ごちそうさま"も

すべてが私にとって新鮮だった



そんな生活がいつしか当たり前になりかけていて


ふと、みんなが巡察に行った時や

お留守番を頼まれた時

一人になってしまった時

寂しさがこみあげてきた