月明かりと薄桜 -誠の絆-



「彼女はあなたのためにここへ来たんです」


「…は?」


さっきから"は?"しか言わない沖田さんだけど


その言葉に思わず私も驚いた

私は彼に一言も沖田さんのことを言っていない


なのになんでそれがわかるの?



…ああ、そうか

沖田さんはかなりの甘党で有名な人だ

そんな彼がこの甘味処に来たことがあってもおかしくない



沖田さんは知らなくとも

美少年は彼のことを知っていただろう




「あなた達の事情は知りませんけど、あなたこそ彼女のことちゃんと見てあげるべきです」



沖田さんの舌打ちがはっきりと聞こえる

そんなのおかまいなしに美少年は平然としている



この人たち…正反対すぎる



「でも、あなたが来てくれたおかげで彼女は助かりました。礼を言います。」


ぺこりと頭を下げる彼。

でもその対応は沖田さんにとって

不快でしかなかったようだ