「今日は付き合ってくれてありがとね。」


「別に…。」


「やっぱり一つ聞いてもいい?
渡辺先生とどんな関係なの?
一応私の先生だから…。」


「自分の仕事を一番にして子供を捨てた最低な母親。
表向きはだけど…。
俺が三歳の時俺の父親が死んでそれからは仕事一番になってまだ小さい兄貴と俺をおいて出て行ったやつ…。

その手紙には俺の祖父に当てた手紙だったんだけどな…。

私はやっぱり仕事が好きなのでこの家を出ていきます。

光、良樹に伝えてください。
パパ病気で亡くなったばっかりなのにごめんなさいと…。

お父さん後のこと頼みます。」


「でも…渡辺先生って結婚してたよね…。」


「そうだぜ。
俺達には仕事って書いてあるけど本当は男がいるから出て行ったんだ…。

で…あのキーホルダーは俺の父親のものだ。

結婚してんのによく元旦那の形見を持ってるよな…。」


「大多和くん覚えてたの?」


「あのキーホルダーだけは、まだ小さかった俺も兄貴も忘れられねーよ。

ずっと大切に持ってたものだからな。」


「そうだったの…
大多和くん話してくれてありがとう。
でも…先生の演劇はすごいからやめられない。」


「別にやめろなんて言ってないけど…。
お前なんか関係ないし。」


でもそんな過去があったなんて…。


「でも…理事長はそんな状況でも光くんと大多和くんを育ててくれたんだよね。

だから大多和くんは絶対姫華さんと結婚するんでしょ。

恩返しのために…。

大多和くんの第二のお父さんはいい人なんだね。」


「第二のお父さん?
何言ってんだ!?」


「だから大多和くんにとって本当のお父さんは亡くなってしまったけど…

育て親はおじいちゃんでしょ。

だから第二のお父さん。」


「変な考え方。」


「まぁ、いいじゃん。
バイバイ。」


「二度と俺に声かけるなって渡辺先生に言っとけ。
でも友子の演劇は見に行くから。」


「本当に?とっても嬉しい。」


「お前の演劇は尊敬するから…。」


「あ、ありがとう…。
でもそんなこと言うと、また大多和くんに惚れてしまう!」


「惚れるなよ!」


「わかってるって(笑)」