一旦、家に戻り荷物を持って未来の家にお邪魔する。
「お邪魔しまぁす。」
「どーぞ。」
一歩入ると途端に懐かしさがこみ上げてくる。
よくこの家に来て遊んだんだよね。
中に入ると昔よりスッキリしたリビングが広がる。
テレビと小さめのソファがぽつんと置いてある。
ダイニングには2人がけのテーブルと椅子が置いてあるだけだった。
「…なんか…未来の家じゃないみたい。」
「ん?そうか?まぁ、1人で住むには広すぎるよなー。」
未来は ソファに座って と言ってキッチンに行ってしまう。
確かに、1人で住むには広すぎる。
昔は未来のお父さんとお母さんがいたから、もっと賑やかで…
もっと生活感があった。
でも…
今はそれがなくて何だか切なくなる。
「ほい、オレンジジュース。」
目の前にグラスに注がれたオレンジジュースが置かれる。
「…あの、さ……」
「ん?シュークリームもあるけど、食う?」
そう言ってシュークリームまで出してくれる。
「…食べる…けど……前から思ってたんだけど…いつもオレンジジュースくれるよね?」
ふと、前から気になっていた疑問をぶつける。
「だって、春子はオレンジジュース好きだろ?」
「す、好きだけど…何で知ってるの?」
「はぁ??お前…昔から何飲む?って聞かれるとオレンジジュース!しか言わなかったじゃねぇか!」
「え?」
「覚えてないのか?暑い時はオレンジジュース。寒い時はあったかいお茶か紅茶。だろ?」
驚いた…
私の好みをそこまで覚えているなんて…
「さすが未来…」
「んで、シュークリームもお気に入り。」
「…よくご存知で…。ってか、未来もシュークリーム好きでしょ?」
「おう。」
そうだ…。
私が未来のことを知っているように
未来も私のことを知っているんだ。
「いただきます。」
そう言ってシュークリームを頬張ると
口いっぱいにカスタードの甘さが広がる。
途端に懐かしさもこみ上げてきて
何だかいてもたってもいられない気持ちになってしまう。
「おい、口にクリームついてる。」
そう言って未来の手が唇に触れる。
急に触れられた驚きとドキドキで身動きが取れない。
そのままついたクリームを
未来は指でぬぐってペロッと舐めた。
「えっ…」
何が起こったのかよく分からない。
唇に触れた未来の指のせいで
さっき林くんにキスされたことを思い出してしまう。
泣きたくないのに泣きそうになる。
「お、おい?春子?大丈夫か?」
「ふぇ?」
どうやら涙をこらえることは無理らしい…。
心配されると余計に涙が止まらない。
「な、泣くな…どした、シュークリームまずかった?」
「ち、違うの…違くて…」
林くんのことを思い出して肩が震える。

