段ボールを抱えたまま
林のあとを追う俺。


おかしい。
明らかにおかしい。


こいつ、完全に女として春子を見てるだろ。



…ムカつく。


なんでムカつくのか…その気持ちの正体は明らかだけど、その気持ちはまだ
春子に伝えてはいけない。


どーせ、あいつは俺のことただの幼なじみとしか思ってないだろうし。



それにしても
林のやつ、なに考えてんだ?

それに春子も。
何となく林と話す今日の春子はたどたどしいというか…


それに何日か前も、昇降口で林が来るのを明らかに待ってたし。


色々考えてるうちに教室へ着く。


「この辺に置いておけばいいかな。」

「あぁ。」

素っ気なく答える俺。


「じゃ、ちょっと風戸さん迎えに行ってくるね。」


そう言って教室を出ようとする林の腕をとっさに掴む。


「…どうした?」


「いや、…俺が行くから林はクラスに戻れよ。」


「いやいや、風戸さんを待たせてるのは俺だから、柴崎は休んでろって。」


どういうわけだか引き下がらない林。
その目は俺をライバル視しているかのように見える。


「何、柴崎。そんなに風戸さんのことが心配?」


鼻で笑うような林。


「まぁな、あいつは昔からドジだからな。それに表情をあんまり見せないし。」



「そんなことないと思うけど?表情見せないってゆーか、表現するのが苦手なだけだろ?ドジってゆーより、頑張り屋なんだよ。」



んなことは分かってる。
お前に言われなくても分かってんだよ!


イラつく俺。


幼なじみ感をアピールしたつもりが完全に裏目に出てる。