好きなんだよ、バカ




うちは昔から両親が放任主義で、



共働きだったこともあるし、



ほとんど姉弟で育ってきたようなものだから



だから…




「東夜が話してくれないの、寂しいよ…」




ドア越しに言った言葉は、ちゃんと東夜に届いたみたいで。



東夜は部屋のドアを開けてくれた。




「東夜…」



「姉ちゃん」




東夜はなんだか、難しい顔をしていたけど、



ちゃんと顔をみせてくれた。いつもの東夜みたいに。



それが嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。




「……オレ難しく考えすぎてたかも!
考えんの、性に合わないくせにな」




私の顔を見て、東夜も笑ってくれた。




「オムライス、まだ残ってる?
やっぱ食べたい!」



「うん。あるよ」




東夜が、何をそんなに難しく考えていたのか、



気にならないと言えば嘘になるけど



今は笑顔が見れただけで十分だ。