好きなんだよ、バカ




晃汰と彼女に気付かれないように、体育館を抜け出した。



体育館を出ると、水道があって。




「あ、南月ちゃん」




そこで蓮くんが、顔を洗っていた。



なんで、このタイミングで会えるんだろう。



まるで、運命みたいな……って、おこがましい私!!




「…なんか、運命みたいだね」



「えっ」




でもそう言ったのは、私じゃなくて蓮くん。



濡れた顔をタオルで拭いて、



優しく微笑む姿は、王子様のよう。



そんなこと言われたら、女の子みんな好きになっちゃうよ…。




「体育館抜けて、大丈夫?」



「はい。負けちゃったので、
もう試合なくて…」



「そうなんだ。
俺も」




俺もって…



そっか…蓮くん、負けちゃったんだ…




「試合…見たかったなぁ…」




蓮くんはきっと、何をしててもカッコいいと思うから。



だから、運動してる姿も、絶対カッコいいと思う。