私の通う学校は
普通科、理数科、芸術科、芸能科など
様々な分野を教育する、専門高校。
市内でも珍しく、有名な学校だ。
その高校の芸術科に所属する私は、
綾瀬 南月(あやせ なつき)。
みんなからはナツと呼ばれている。
引っ込み思案で、人見知りで、
人と関わるのが苦手だから、昔から絵ばっかり描いてきたんだよね。
「あ、ここから第一実験室が見えるよ」
そんな私に向けて、星菜は窓の外を指差して、向かいの校舎の1階を見ていた。
ちなみにここは2階。だから1階は少し見にくいはずなんだけど…
「……うわっ」
星菜の言葉につられて見てみれば、
見覚えのある人たちがいる。
理数科の、たぶんA組の人だ。
A組の授業は実験なのか…。
そんなことを考えていたら、見つけてしまったあの姿。
さっき私に“下手クソそう”と言った、アイツ。
名前は、高木…なんだったっけ?
そういえば、下の名前を知らないや。



