───パリンッ
実験の途中で、
いつもはしない失敗をしてしまった。
「いって」
「あー、やっぱりそれは
高木でも危なかったか」
いや、今のは
実験が危なかったわけじゃなくて
俺が考え事してたから。
試験管を割って、しかも素手で触って怪我するって…
……しっかりしろよ、俺。
アイツのことばっかり考えてんじゃねぇ。
今朝、何か話したがってたみたいだった。
けどもう…期待すんのはやめたんだ。
だから話さない。それが諦めるための第一歩だ。
───ガラガラッバンッ!!
その時、急に爆音響かせて教室のドアが開いた。
「高木晃汰!」
「今は授業中だぞ!
自分の教室に…」
そこにいたのは
呼吸を荒くして、少し汗を滲ませる、綾瀬だった。