* * *
翌日。
いつもより少し早く来て、理数科の教室に向かった。
理数科の教室が近くなるほど、賑やかな声が聞こえてきて。
「高木くん、
付き合って?」
「いーよ。どこ?」
「そーいうことじゃないよ~!」
同じ理数科の人なのか、それとも違う学科の人なのか、
晃汰と、たくさんの女の子が廊下を歩いていくのが見えた。
それにしても…
『付き合って』って言われてるのに、『どこ?』って。
晃汰って意外と天然なのかな?
思わず笑いそうになって、ハッとした。
私、そんな現場を見るためにここに来たんじゃないし!
晃汰にちゃんと伝えるために、来たんだった。