「南月ちゃん?」
「……えっ?」
「さっきからボーッとしてるけど、
どうかした?」
玄関について、靴を履き替えていると、
ずいぶん時間をかけてしまっていたのか、蓮くんが心配そうに私を見た。
ボーッと、してしまっているのか。
……さっきの晃汰が
晃汰じゃないような気がして…
ずっとそれが、気になってしまう。
今までの晃汰が嘘だとしても
いきなり突き放されて、簡単に納得なんて出来ない。
「……蓮くん、あの」
「え?」
「…ごめん…
私、用事思い出した」
やっぱりこのままモヤモヤしたくなくて、
理数科の教室がある方へ走った。