「晴希」
「ん?おー!ちょうど良かった!
お前折り畳み傘あったよな?
それ、この子に貸してやってくんない?」
「さっき女に絡まれて、
話すのめんどくさくて貸したから、ない」
「マジかよ、使えねー」
どいつもこいつも、忘れるのが悪いんじゃん。
なんで俺を当てにすんだよ。
だいたいその女誰だし、知らねーし。
チラッと目線をやると、
一瞬だけ、目があった。
一瞬だったのは、
向こうが俺にビビりまくりで、すぐに逸らしたから。
……この子、ちっちゃいな。
晴希も気にかけてるような子だ。悪い子ではないんだろう。
だから、ずぶ濡れで帰らせるのは、さすがに可哀想だと思ったんだ。



