幼馴染み↑+恋人↓=?

「満開だぁ……」


 私と蓮くんの家の前にも植えられてて、そこも綺麗なんだけど。やっぱり道の両側に植わってると、違うなぁ。間隔もこっちのが狭いし。


「今年の約束も、完了」

「うん」


 桜を見ても悲しくなったり、寂しくなったり、辛くなったりしないのは蓮くんのおかげ。

「ありがとう、蓮くん」

「ゆうは、笑っててくれればそれで良いよ」


 ぽんぽんって撫でられる。優しい手。蓮くん、ありがとう。


 歩くスピードは、完全に私のペース。上を見ながらでゆっくりな私に合わせてくれてる。

「…………綺麗」


 ひらひらと、はらはらと。風に乗って花びらが舞っている。


「ん、そうだな」


 って蓮くんは笑ったけど。違う、そうじゃなくて。蓮くんが、綺麗だと思った。キラキラして見える。


「蓮くん、来年も来てくれる?」

「毎年、一緒に見に来ようって約束しただろ」

 当たり前だろって顔で蓮くんは頷いてくれた。優しい優しい蓮くん。


 だいすき。大好き、蓮くん……。




 ゆっくりと並木道を歩いて桜を堪能した私たちは、蓮くんの家に着いた。



「それじゃあ、着替えたら迎えに行くよ」

「うん、待ってるね」



 この街の中には用水路が通っていて、ここにも桜の樹が植えられている。勿論、並木道ほど植えられているわけじゃ無いけど。でも、うん、やっぱり花が咲いていると全然違うなぁ。



「おかえり、柚子ちゃん」

「ただいま。蓮くんにお花見行こうって誘われたから、着替えたら行ってくるね」

 おばあちゃんに言いながら、ブレザーを脱いでブラウスのボタンを外す。いっぱい蓮くんと見たのに、またゆっくり見て歩いて来ちゃったから、たぶんもう蓮くん来ちゃう……!



「それじゃあ、お昼は出店で良いのかな」

「うん。おばあちゃんも何か食べる?やきそばとか……たこ焼きとか、買ってくる?」

「そうだねぇ、美味しそうだねぇ」


 バタバタと着替えてたら、ラインの音が鳴って見ると蓮くんだった。


「今から出るからもう少しゆっくりで良いよ……って、バレてる!」


 ゆうのことだから、またゆっくり見ながら帰ったんだろ。ってとこかな。ありがとうってスタンプを送る。よし、今からならもう少し時間あるかも。


 軽くお化粧をし直す。……うん、私可愛い、っと。あ、そうだ。


「お母さん、今年も蓮くんがね、お花見に誘ってくれたよ」


 泣いていた私に、俺がいるよって言ってくれた蓮くん。いつまでも蓮くんの優しさに甘えていちゃダメだって思う。でも、蓮くんのことが好きなんだもん……。


 笑顔なお母さんの写真をこうやって見れるようになったのは蓮くんのおかげ。

 桜の花を見て寂しい気持ちにならないのも、蓮くんのおかげ。





 でも、蓮くんは……?


「柚子ちゃん、蓮くんが来たよー」

「はぁい!」


 学校であんなに人気があるとは思ってなかった。小学校の時もカッコイイとか言われてたけど。…………あれ。


 もしかして蓮くんって昔から人気だった……?