「あ、教室ここだ。きっとまた席近いね」

 菜々が籏野で、私が葉鳥だからいつも出席番号だと前後なの。



 教室に入るとやっぱり出席番号順だった。黒板に席が書いてあって、真ん中辺りの一番後ろが私で、その前が菜々だった。

 このクラスには私の通ってた小学校からは少ないんだよねぇ。菜々と私以外だと五人だもん。


「同じ学校の子同士なのかな、なんかもう仲良さそうだね」


 菜々の言葉にウンウン頷く。教室に入って来るたび「久しぶり〜」って声掛けたり、掛けられたり。

 ちょっと肩身狭い感じ?


「えーと。葉鳥柚子、さん?だよね。俺、平原和弥って言うんだ。よろしく」

 トン、って鞄が机に置かれた音がした。私の隣の席の子だ。結構カッコイイ?


「よろしく。平原くん」

「あ、私は柚子と同じ一小だった、籏野菜々です。よろしく」

「ん、よろしく。もしかして家近い?」

 私と菜々、一瞬に頷いた。

「私と菜々も、徒歩通学だよ。十五分くらい」

「マジで!俺、四十分くらいかかるんだけど」

 四十分……!って、私も驚いた。それだけの時間があったら寝てたいかも。でも、蓮くんと一瞬ならそれもそれで、ってちょっぴり思った。


「後ろ、和弥かー今年もよろしくなー。……っと、二ノ宮涼。よろしく」

 菜々の隣の子だ。私と菜々、よろしくって挨拶をする。

「二人は同じ学校だったの?」

「そ。六小。このクラス、六小生が多くてびっくりする。俺の前の鳴海も六小だし。あっちで喋ってんのも」

 そうなんだぁ、六小の子たちなんだ。

「一小は私と柚子含めても十人いないのに」

「ね〜。固まりすぎだよね。顔と名前覚えられるかな」


 私、結構そういうの苦手なんだよなぁ。




「進学式が始まるので、講堂に移動して下さい」

 って案内の人が来た。ザワザワしてたのに、シンってなってまたザワザワし始めた。


「進学式って長いんかなぁ?俺寝そう」

「あのなぁ……まぁ、でも退屈だよな」

 私も菜々も頷く。早く終わるといいなぁ。