「今日は入学式と進学式だけだから、たぶんすぐ終わると思うんだ。で、終わったら迎えに行くよ。あー、けど高校の方が時間掛かるかな。ゆうのが先終わったら迎えに来てくれても良いし、玄関で待ってても良いし。そしたら、桜並木行こ」


「うん!」


 春になると、蓮くんと桜並木を見に行く。とっても綺麗で、初めて見た時に毎年来ようって約束したんだ。学校からだと遠回りになるけど、一緒にいられる時間が伸びるのは嬉しい。




「それじゃあ、後でね」

 同じ年だったら。同じクラスだったら。ずっと一緒にいられるのに。

 そんな、考えても仕方ないことを考えちゃう。


 蓮くんの背中を眺めてたら、溜息を吐いていた。やばいやばい。歳下だってのはもういい加減。諦めなきゃ。


「あー、柚子だぁ。今年も同じクラスだねぇ」

「菜々〜!おはよう」

 菜々とは小学校一年の時からの仲。


「一緒に来たの?」

「もっちろん!中学からはね、私が蓮くんの家に行くことになったの」

「お迎え無くなったの?もしかして寂しい?」

 菜々はちょっと意地悪な顔をしてる。でも、そう聞かれちゃったら頷くしかないや。

「あ、でも!家の前で立ってた蓮くん、桜の花びらの中でキラッキラしてたんだよね。すごいかっこよかったー」

 うん、思い出しただけでドキドキ。ほんと、キラキラしてたもん。