少年はその場から立ち去り、屋上へと急ぐ。

ーガチャ

立入禁止の札を無視し、ドアを開ける。
まだ夏の蒸し暑さが残る風が吹く。

『ふぅ……』

一気に緊張の糸が解けたように、ぐたりとフェンスに寄りかかりながら座る。
何時しか、風が心地よくなり、睡魔に襲われている時。

「あれ?先客?」

気配がなく気づかなかった少年は目を見開いた。そこには目まで前髪が伸びた少女が
いた。

「上履きからして…同級かな?」

少女は少年に話しかけるが、少年は反応を示さない。

「え!?無視!?」

『……』

少年は心地よい睡魔を邪魔され、不機嫌からか、殺気に近いものを出していた。
しかし、少女はそれにビクともしない。