昼休み、フードを被った少年は行き交う人の群れをよけながら廊下を歩く。
目的である屋上に向かっているのだ。
しかし、

ードンッ

「いてっ、テメェどこ見て歩いてんだよ!!」

「うわぁ〜、ちょっと怪我したんだけど、医療費払ってくれる?」

『……』

上級生が下級生をカツアゲ、絡むのは日常茶飯事だ。

「はぁ!?お前無視とか喧嘩売ってんのかコラァア!!!!!!」

「はよ金払えやァ!!!」

『…ハァ、』

少年がついたため息で、何かがキレたように怒鳴る。

「テメェ一年の癖に生意気なんだよォォオ!!!」

「オラァァァア!!」

殴りかかろうとする男子を華麗によけて、鳩尾を殴る。

「グハッ!!!」

殴った勢いで揺れたフードから見えた瞳は、¨グレー¨をしていた。

周りの野次馬はその光景をただただ、呆然と見ていた。