暖かい特有の風、桜が舞う宙、季節は春。
春とは別れと出会いの季節。
ここでもまた、新たな出会いを求めて、高校への入学式が行われていた。
初々しい学生服に身を包み、期待と不安を胸に抱いている。
そんななか、校舎裏では、目出度い日には到底似合わない、悲痛な音が響いていた。
「カハッ」
「わ、わかったから!!もうやめてくれ!!」
そう降伏する声を上げる相手に、最後の一発をくらわせ、立ち去る少年が一人。
その少年の瞳は、なんの感情も読み取れない、何も映さないグレーをしていた。
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